『本当の自分はどこに』
マフィアのスパイとして警官になったコリン。一方、マフィアへ極秘の潜入捜査を命じられた警官ビリー。正体を偽り生きる2人だったが、警察とマフィアはスパイの存在に気づき始めた。危険が迫るなか、互いの内通者を探すことに。
香港映画のヒット作『インファナル・アフェア(無間道)』をハリウッドでリメイク。スリリングな駆け引きが見どころの作品も、スローな展開が印象を変えている。それでも終盤へ向けて徐々に盛り上がっていくあたり、設定の違いもあってやはりスリリングだ。この作品では、警官コリンの視点で多くが描かれているようで、題名が『ディパーテッド(死者)』でありニュアンスも違っている。さらに違った展開として、精神科医マドリンとの三角関係の恋の行方が気になったが、結末がはっきりしないのは惜しまれる。
やはり注目は、マフィアの内通者をマット・デイモンが、潜入捜査官をレオナルド・ディカプリオが演じているところだろう。マフィアのボスはジャック・ニコルソンのキャラが印象的だ。先の作品のイメージとしては、二人は逆の立場でもよかったように思える。まあ設定も違うわけで、そのあたりを比べてみるのも面白い。この作品の面白さは、二人が本来とは逆の立場で生きるという皮肉さ。そして、身分を偽ることで本当の自分は何者なのかを問われているところだろう。エリート警官となったコリンにとっては、将来が約束されている。マフィアのスパイであることを除いてではあるが・・・。一方で、優秀な警官でありながら、その生い立ちから潜入捜査を命じられたビリーは全てを捨てさった。劇中で語られる二人の過去をみれば、どちらにも成りえたはず。それは、善と悪が背中合わせとも言えるのではないだろうか。
結局は互いの存在を知ったとき、どういった選択をとるのか迫られることにも。劇中では「死人に口なし」という具合に、都合の悪い者は消されてゆく。生き残った者の都合で、その存在が解釈されてしまう虚しさだけが残る。自身を偽る者にとって、本当の自身はどこに在るのか。すでに存在していないのかも・・・、それでは死者と変わらないだろう。
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