『戦争の現実と真実』
太平洋戦争の末期、本土攻略の要所となる硫黄島へ、米軍による戦闘が開始された。激しい戦いは一ヶ月あまり続くことに。そのなかで撮られた一枚の写真は、アメリカ国民の心を捉え、戦争を勝利に導いたといわれる。「硫黄島」での真実が今、語られる。
硫黄島での激戦を、日本とアメリカ双方の視点で描く、クリント・イーストウッド監督による「硫黄島」2部作。まずはアメリカからみた作品である。この作品での主人公は、写真で有名な“星条旗を掲げた兵士たち”。多くの犠牲者を出した戦闘の後、衛生兵のドクと5人の海兵隊員は、擂鉢山の頂上に星条旗を掲げた。このとき撮られた写真が、長引く戦争に嫌気がさすアメリカ国民の心を一つにし、戦争を勝利に導いたといわれる。しかし、真実は・・・。
英雄として称えられる写真の6人。しかし、帰還したのはドクを含めた3人だけだった。星条旗を掲げた後も戦闘は終わってはいない。写真の星条旗は2度目のものだったこと、入れ替わってしまった6人目の名前。真実は、覆われてしまう。さまざまな思惑から、都合よく宣伝に利用されてしまったのだ。画して戦時国債キャンペーンに駆り出されることになる。沸き立つ国民を前に、本当に称えられるべき者は誰なのか?戦場を見てきた彼らにとって、遺族との対面や、英雄としてもてはやされることのギャップに苦しむこととなる。口を閉ざした彼らの思いが伝わってくるが、今だからこそ語れる真実の物語なのである。それゆえ、硫黄島での物語よりも、帰国してからの3人が描かれているのは、視点がずれているようにも思える。それがアメリカの戦争の現実ということだろう。
作品として、双方に多くの犠牲をだした戦闘の描写も生々しいが、裏話的な内容に、戦争の悲劇、現実を描き出しているのだろう。すべては茶番なのか。戦場の兵士と、離れた国民とのギャップが意味するものは何だろう。決して誇れる戦争などないのではないか。そう見れば、いつの時代もさほど変わってはいないのだと思えてくる。立場が違えば、兵士の思いも違うはず。何故、ここまで激しい戦いを強いたのか?国の立場も垣間見えるが、数千人の犠牲を伴った戦闘の意味は何だろう。一人の兵士が見た現実は、すべてを物語っているのではないだろうか。
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