『仮面に隠したのは正義?』
第3次大戦後、独裁国家となったイギリス。労働者階級のイヴィーは街の自警団に絡まれていたところを“V”と名乗る仮面の男に助けられる。圧政からの開放を謳う彼は次々とテロを決行するのだが・・・。その素顔、そして目的とは・・・
ダークな近未来を描いた原作コミックを、スタイリッシュなアクションで映像化した作品である。舞台となるのは独裁政権下のイギリスという架空の未来。ヒーローが活躍するには絶好のシチュエーションだ。謎のテロリスト“X”とは・・・400年前に処刑されたガイ・フォークスにちなんだ仮面姿、道化師のようなヒーローらしからぬいでたちの異色のキャラである。ちなみにガイ・フォークス・Dayとは、議事堂爆破による国家転覆が未遂に終わったことを祝う日(11月5日)なのだとか。知っていて観れば印象は違うかもしれない。教養豊かな紳士、そんな姿とは裏腹にナイフを華麗に操り、悪には容赦しないあたりギャップは面白い。ちょっと不気味なダークなヒーローに違いは無いのだろう。それにしても彼は主役ではないのだろうか?最後まで素顔をみせないのだ。役を演じるのはヒューゴ・ウィービングだったとは、言われなければわからないではないか。もっとも劇中、訳ありの過去が明らかになり、Vの意味するところも判るのだが。やはり映画作品としては詰め込みすぎなのだろうか。ストーリーが完結してスッキリするが、少々理解出来ない人間関係やエピソードが気にかかる。
注目は映像というところだが、そのアクションはスタイリッシュなもの。爆破シーンにも美的なものを感じさせるあたり「マトリックス」のオシャウスキー兄弟の脚本/製作ということを意識させる。もう一つの注目はヒロインのイヴィー(ナタリー・ポートマン)の強い人間への成長が描かれる。それに絡めて描く“V”との交流、それは愛情なのか・・・。ガイ・フォークスから“V”へ、そしてイヴィーと受け継がれるスピリット。その他、主要な登場人物が伝えるものは何だろう、見る側の解釈次第であってあいまいだ。はたして“V”の目的は復讐なのか、革命であったのか・・・。現実の世界ではテロは許されないが、それは復讐なのか?400年の時を越え伝える精神、ガイ・フォークス・Dayの意味も少々違って感じられる。
|