『信じる心の未来への扉』
第2次大戦下のイギリス。ペベンシー家の4人兄妹は空襲を逃れ、田舎に住む教授の家に疎開していた。ある日、末っ子のルーシーが空き部屋にある古い衣装ダンスに隠れると、そこは別世界へ通じていた。魔女によって支配され100年の冬に凍える国《ナルニア》である。
C・S・ルイスの有名なファンタジー小説の映画化である。原作は7巻からなるが、今作品では第一巻「ライオンと魔女」を映像化している。ナルニアの誕生から消滅までを描くシリーズでは途中のエピソードになっていて戸惑うが、扉の向こうの別世界“ナルニア”への冒険の始まりにはふさわしい。いきなり別世界へ行ったペベンシー兄妹も同様のはずだから。もちろんこの一章でも完結した作品として見られるが、シリーズを通した壮大な作品でもある。今作品では多くの疑問も見つかるはず、ナルニアの世界とテーマを理解するにはシリーズを観る(読む)しかないのだろう。
物語として面白いのは、現代(1940年)と行き来できるパラレルワールドの存在。身近にある別世界の入り口はタンスというのも意味深に思える。そしてファンタジーの世界ゆえに何故?といってはいけないが、登場するのは魔女にライオン王に神話の生き物etc.・・・。現代の映像技術のなせるワザだが、ファンタジーの世界を余すことなく再現している。原作は児童書なのだが書かれた時代背景を反映して、戦争の現実を暗に伝えているのではないだろうか。白い魔女の恐怖による支配、世界は冬に凍える。物語は疎開していた兄妹が別世界でも戦争に巻き込まれてゆく、しかも勝利の行方を左右するのである。善と悪のせめぎあう世界を救うのは子供たちであり、そんな未来を物語に託しているのかもしれない。
やがて、兄妹はもとの世界へ戻ることになるが、ナルニアでの十数年は一瞬の出来事である。《ナルニア》はいつでも行けるわけでもなく子供にしか行けない世界、それは大人になって失くしてしまったものかもしれない。子供だましなんて思わずに見てみれば、子供心に帰れるはず。そして、タンスの中を探してみれば、遠い思い出がみつかるかもしれませんね。
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