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シネマビュー
ペンネーム:yamao
発行者WEBサイト:cinema見聞録


02/09 『オリバー・ツイスト』 yamao 採点:★★★

『善と悪、問いかける無垢な心』


 19世紀の英国。孤児である少年オリバーは、9歳になり救貧院で麻屑をつくる労働をすることに。しかし、与えられる食事はわずか。やがて救貧院からも追い出され、引き取られた先でも人としての扱いをされぬ日々であった。ある日、家を飛び出し大都会ロンドンへと向うのだが・・・


 原作はチャールズ・ディケンズの同名小説であり、過去に幾度も映像化された作品である。今作品では「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー監督により、当時の階級制や差別など社会の不条理を無垢な少年オリバーをとおして描いている。客観的な視点は風刺的でもあり考えさせられる。


 劇中の登場人物は、賢く生き抜く人もいれば、ずる賢い人もいる。救貧院では僅かな食事だけで労働させる院長や、オリバーを引き取った葬儀屋も弱者を利用するだけの大人たちなのだ。表向きは善人だが、していることは人として許しがたい。やがてオリバーは幸福を夢見てロンドンへ向かうが、たどり着いても人の行きかう街角で力尽きてしまった。それでも助ける者はいない。そんななか声をかけたのは妙な格好の少年ドジャー、ただで泊まれるところがあるという。そこには主のフェイギンと大勢の少年たちがいた。温かいもてなしに初めて仲間と呼べる人と出会う。しかし、彼らがスリ集団であったことを後に知るのだが・・。フェイギンは身寄りのない子供たちを使って盗みをさせる。それで救われている子供たちだが、社会的には悪人である。それでは孤児の労働で富を得る人たちは・・・。それも悪ではないだろうか。殺伐とした時代、矛盾した社会である。そんな大人たちばかりと思っていたら、ロンドンへの道中で救ってくれた老人や、警察につかまったオリバーを助けてくれた紳士がいる。助けを求める者、手を差し伸べる者、すべてはめぐり合わせなのだろうか。うまくかみ合わない社会的な善と人の良心である。


 はたして善悪を決めるのは何だろう? 純粋な心のオリバーから見たら、いったい何が正しいのか。描かれているのは19世紀の話なのだが・・現代の社会にもだぶって見える。そう思えば意義深い作品である。物語の最後で、刑を待つフェイギンの為に祈るオリバーに釈然としない世の中を垣間見るようだ。

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