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シネマビュー
ペンネーム:yamao
発行者WEBサイト:cinema見聞録


12/26 『キング・コング』 yamao 採点:★★★★

『”美女と野獣”それは切ないラブストーリー』


 1933年、恐慌さなかのニューヨーク。投資家から見限られた映画監督カールは、本物の冒険映画を世に送り出すため、海図にない伝説の島への航海へ出た。しかし、撮影クルーと脚本家のジャック、女優アン・ダロウを乗せた船がたどり着いたのは想像を絶する世界だった・・・。


 幾度もリメイクや続編がつくられた「キング・コング」、今作のストーリーは33年のオリジナルと同様である。しかし、「ロード・オブ・ザ・リング」のピータージャクソン監督の作品らしく、昨今の映像表現によってスケールの大きなファンタジー作品となっている。太古の姿を留める伝説の島「スカルアイランド」での冒険はまさに「ロード・・・」の世界である。そして恐竜や巨大生物と人間との遭遇は、これまでの作品の総決算とでもいった感じで次々と繰り出される。3時間超の作品であって前フリが少々長い感じだが、退屈させないノンストップの冒険にただただ見入ってしまった。しかし、この作品の見どころは冒険だけではない。描かれるのは島の王者キング・コングと女優アン・ダロウとの恋?なのだろう。恐竜と死闘を繰り広げるコングは危険な島ではなんとも頼もしい。それは恋人ジャックよりも・・・。コングとアンの心の交流と、ジャックの想いが交錯しあって、いわゆる三角関係といった側面があるかもしれない。そのあたり曖昧だが伝わるモノがあって、内面的な描写が切なく微妙な男心(?)を感じさせる。そして、獰猛に見えるコングの顔がしだいに愛らしくさえ見えてくるのは不思議である。ニューヨークでのアンとの再会などラブストーリーの一場面のようで、まさに“美女と野獣”といったところ。たんなるパニック映画でない面白さである。愛する者の為に命がけ、それはコングもジャックも同様である。しかし、本能のまま(当然か・・)街を破壊しては愛の為では済まないはず。見せ物にした人間にも責任があるのだが、文明の衝突にも見えて風刺的だ。


 そして有名なシーン、最後にコングが登ったのはエンパイア・ステート・ビルである。「なんであんなところに登ったんだ?」高いところとは王者の証明なのだろうか?象徴的な姿と最後である。いつかは訪れる王者の最後に哀愁を感じてしまった。「コングを殺したのはパイロットではない、美女が殺したんだ」というセリフも33年版と同じだが、いつの時代でもやはり切ない。

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