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シネマビュー
ペンネーム:yamao
発行者WEBサイト:cinema見聞録


10/27 『DOMINO』 yamao 採点:★★★★

『人生は投げられたコインなのか?』


 逃亡犯の身柄拘束など危険な仕事を請負うバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)。ドミノ・ハーヴェイは退屈な日常からこの世界に身を投じ、やがて仲間たちとの信頼も築いてゆく。しかし、ある現金輸送車の強奪事件にかかわり窮地に追い込まれることに・・。


 実在の女賞金稼ぎ“ドミノ・ハーヴェイ”の生きた軌跡を描く。そう、本人は映画の完成後に35歳にして亡くなっているのだ。何ともミステリアスで波乱に満ちた人生である。裕福な家庭にありながら、あえて危険に身をさらしてまで何を求めていたのか?そんな彼女の心の闇を描き出すのはトニー・スコット監督。前作「マイ・ボディガード」では暴力の中に生きる男を通して、虚無感や怒り、そして愛を描いていた。今作は女性が主役であるが、やはり空虚な心を映し出している。実在の人物を描いているだけに単なるアクション作品ではない重みが感じられるものだ。そんなドミノを演じるのは“キーラ・ナイトレイ”、これまでにも「パイレーツ・・」「キング・アーサー」で闘うヒロインを演じているが、今作では高貴なイメージとは反対のダークなヒロインである。汚い言葉と態度も様になって主役としての存在感を見せる。そして脇を固めるのは“ミッキー・ローク”、ワイルドでおちゃめ(?)な不良オヤジの本領発揮である。最近ひき立て役が多いが、控えめでない存在感でサポートしている。


 気になるのは“人はいつか死ぬ”劇中に何度かでてくるフレーズである。退屈な日々をただ生きる。それは生きていることなのか?生と死をドミノはコインの裏表で表現しているが、生きるということの対極にあるのが死である。愛を捨てたドミノが求めるのは生きる実感だろう。それを得るのは生死の狭間でしかないのか?あまりにも極端な生き方に心の深淵を見せられたようだ。それでも愛する心を捨てきれないのは、人としての希望であり生きる辛さなのだろう。もっとも、仲間達に家族の安らぎを求めていたのかもしれない。はたしてドミノは愛する心を捨てたのか、それとも取り戻したのだろうか。あまりに短く駆け抜けた人生であり、自ら幕を下ろした人生にどういう意味があるのだろうか。“彼女の生きた証”それは映画とともに残るだろう。しかし、あまりにも虚しく切ない。

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