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07/15 |
『ダニー・ザ・ドッグ』 |
yamao |
採点:★★★ |
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『戦わない強さ』
幼い頃から犬と同然の扱いをされ、戦うことだけを教え込まれてきたダニー。借金の取り立てと用心棒として生きる日々であった。ある日、出向いた先で見つけた古いピアノになぜか心を奪われる。そこに現れた盲目のピアノ調律師サムとの出会いが、過去の記憶と人としての意識を目覚めさせてゆく…。
人として生きることさえ知らない、人を殺すことも厭わない男“ダニー”を演じているのはジェット・リー。これまでアクション映画のヒーローとしてのイメージが強いが、今作で魅せるのは家族愛に餓えた男である。もちろん得意のカンフーアクションも見どころなのだが、痛快なアクションではない。以前のリュック・ベッソンとのコラボレート作品「キス・オブ・ザ・ドラゴン」では、愛する者を護るため悪党に怒りの制裁を下すのだが、今作での怒りの矛先はどこに向けられるのか。はたして戦うこと、復讐することとは正しいことなのか?未来の選択といった深い意味合いも感じられる。
ジェット・リーが演じるのは、格闘技には長けるが知能は幼いままといったこれまで演じたことのない役柄だけに、観ていて不思議とその世界に引き込まれてしまった。もちろん台詞は少なく、脇を固める役者が重要なところだが、そこはモーガン・フリーマン演じるピアノ調律師サムがうまく作品をまとめているようだ。盲目ゆえにダニーの心を見ていたってところだろうか、二人のやり取りは面白く心温まる。それにしても最近いろんな映画に顔を出しているフリーマンだが、居るだけで作品の雰囲気を変える存在感はさすがだ。それゆえに主役のダニーを喰ってしまいそうなのは難点かもしれない。そして、サムの義娘ヴィクトリアとの交流もほのぼのとして、幸せな恋人同士のようである。しかし、ここでの3人はそれぞれ失ったものがあるわけで、視力であり、母親であり、過去の記憶である。それぞれ欠けているものを補いながら暮らす姿は、本当の家族とは…考えさせられます。それを結びつけるのは、共通のよりどころピアノであって音楽である。なんかいい感じの家族です。それにしてもダニーの境遇は、幼い頃から監禁されて育ったという昔であったならありえないって思えるシチュエーションだが、今では何故かリアルに感じるのは嫌なご時世である。
「ピアノは人間に似てる。人間を叩くと壊れてしまうだろう。ピアノもだ。」サムがダニーに言った言葉は幼い子供を諭すかのようであるが、それは現実の世界へ向けられたメッセージなのかもしれない。
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