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『繊細で美しいホ・ジノの世界』
日本ではヨン様が主演というので話題の映画。でも、この映画はヨン様の映画というよりは、日本でもヒットした名作『八月のクリスマス』のホ・ジノ監督の映画といってよいでしょう。彼の持つ独特の世界がそのまま展開されています。
ヨン様演じる照明監督のインスが、妻が交通事故にあったという知らせで、病院に駆けつける。だが、妻の車には男が同情していて、2人は不倫関係にあったことがわかる。その男の妻ソヨンと気まずく出会うインス。やがて苦しみを分かち合ううちに2人は……。というのがストーリー。韓流ドラマだったら、ドロドロのとんでもない話になりそうなネタですが、ホ・ジノ監督の映画ではそんなことにはなりません。劇的な展開はほとんどない代わりに、心にジワジワと染み込んでくるような巧みな描写が冴え渡ります。
計算された構図、極端にそぎ落とされたセリフ、あくまでも淡々とした描写。そこから伝わってくる登場人物の繊細な心理。妻の裏切りにあったインス、夫の背信に直面したソヨン、それぞれの怒り、苦しみ、悲しみが手に取るように伝わってきます。スクリーンからそこはかとない情感が伝わってくる見事な演出です。同じ感情を共有した2人が親しくなっていくあたりも、自然に描写されていて納得できます。そして禁断の愛に身もだえする2人の気持ちも、リアルに伝わってきます。
ただし、個人的には、ヨン様はこの映画にはやや似合っていない印象も……。演技力がどうのこうのというのではなく、彼が持っているものと、ホ・ジノ監督の持つ世界がうまく融合していない感じがしました。一方で相手役の『ラブストーリー』のソン・イェジンの繊細な演技が心に残りました。
ヨン様ファンが大挙して劇場に足を運ぶ一方で、「ヨン様映画だから」と敬遠する人も多そうですが、そんな先入観はなくして、ホ・ジノ監督の世界を体験してみてください。繊細で美しい世界がそこにはあります。
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