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09/06 |
『愛についてのキンゼイ・レポート』 |
ぽち |
採点:★★★★ |
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『時代の異端者を描いたユニークなドラマ』
歴史に名を残す偉人たちには、はたから見ればかなりヘンな人が多いもの。この物語の主人公アルフレッド・キンゼイ博士も相当にヘンな人です。もともと昆虫を研究する生物学者だったにもかかわらず、様々な背景からセックスの研究をスタート。しかも、その探究心はケタはずれで、真理の探究に没頭すると周囲がまったく見えなくなり、どんどん暴走していくのです。おかげで、自らもセックス研究の実験材料に……。
そんな彼の最大の業績が、タイトルにもある「キンゼイ・レポート」。全米1万8000人もの人々を対象にしたセックスに関する調査をまとめたレポートで、現在でも参考にされる先進的な研究。
ところが、この調査が行われた1940年代は、性に関する話題が絶対的にタブー視されていた時代。最初こそ、興味本位も手伝って世間からもてはやされたキンゼイ博士ですが、次第にバッシングの嵐にさらされて、時代の異端者となってしまったのです。
そんなキンゼイ博士の生涯を、『ゴッド・アンド・モンスター』でアカデミー賞脚色賞を受賞したビル・コンドン監督が、セックスに関する面接調査を前にした模擬インタビューで、助手たちの質問に博士が答えるというスタイルで描いています。厳格な父との確執、妻クララとの愛と性、セックス研究に没頭していく姿……
それは実に起伏に飛んだ見応えタップリのドラマです。何しろキンゼイ博士を演じるのが性格俳優のリーアム・ニーソン。研究のためにすべてを投げ打つ顔と、家族のことを思う優しい顔の両面をうまく演じ分け、博士の人物像を厚みのあるものにしています。
ラストの森の中のシーンでは、邦題にある「愛」がジンワリと心にしみます。それまでは、愛なんて計測できない非科学的なものとして邪魔者扱いしているかのようなキンゼイ博士。しかし、最後になってようやく、その大切さが伝わってきます。何とも風変わりだけれど、心を揺さぶる博士と妻の愛の物語です。
同時に、この映画は当時の保守化した世の中のコワさも描き出しています。一度世論が保守化すると、真理の探究などままならなくなってしまうのです。キリスト教保守派の影響力が大きい最近のアメリカ社会を考えれば、製作者たちがこうした映画をつくろうとした意図がよく理解できます。真実を追求することの大切さはいつの時代も変わりません。その点で、今につながる重い意味を持つ映画だといえるでしょう。
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