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『キレていくケヴィン・ベーコンが怖い……』
TVシリーズ『トワイライト・ゾーン』や『ヘルハウス』『激突!』などの原作で知られるカルト作家、リチャード・マシスンの小説『渦まく谺(こだま)』の映画化。B級テイストがプンプン漂うホラーですが、それにとどまらない魅力を持った作品になっています。
シカゴの平和な町に、妻マギー(キャスリン・アーブ)、息子ジェイク(ザカリー・デヴッド・コープ)とともに引っ越してきた配管工のトム(ケヴィン・ベーコン)。ある日、義姉リサに催眠術をかけられたことがきっかけで、行方不明の少女の幽霊を見るようになる。彼女の失踪に関わる断片的映像に襲われ、憔悴していくトムだったが……。
どうやら幽霊が見えるらしい息子、父もまた催眠術がきっかけで、幽霊が見えるようになる。その恐怖体験の末に解き明かされる衝撃の真実。これはまさにB級ホラーらしい筋立て。
しかし、それがただのB級ホラーにとどまらないのは、ジョニー・デップ主演『シークレット・ウインドウ』の監督・脚本で知られ、最近では『宇宙戦争』の脚本を手がけたデビッド・コープ監督の脚本がしっかりしているから。ネタがネタだけにややリアリティーに欠けるところはあるものの、観ているうちはそれほど気になりません。このテの心霊ネタにしては、あまり違和感を持たずに観ることができました。
また、B級ホラーというと、直接的な恐怖を煽るイメージがありますが、この映画のコワさは、むしろ心理的な恐怖が中心。登場する幽霊も血のりベッタリのおぞましいものではなく、何やらワケありな得体の知れない不気味さを漂わせています。
そして、この映画の最大の見どころは、やはりケヴィン・ベーコンの演技でしょう。『ミスティック・リバー』などでおなじみ、クセ者を演じさせたら天下一品の彼の演技が、映画に厚みを加えています。特に後半、悪夢にうなされて、どんどん憔悴していくあたりの演技は「さすが!」のひと言。普通の男が狂気に走る姿が迫力タップリに演じられています。
最後に明かされる行方不明事件の真相がありがちだったり、父と息子の関係が描写不足だったりするものの、手堅い脚本と演出、そして何よりもケヴィン・ベーコンの渾身の演技で、なかなか楽しめるホラー映画になっています。後半に行くにつれてどんどん高まる緊迫感は見応え満点。コワイもの好きのアナタなら、観てもきっと損はないはず。
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