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『スピルバーグが原点回帰? 得体の知れない恐怖が迫る!』
数あるスピルバーグ作品の中で、個人的に最も面白いと思うのはごく初期の『激突!』。迫りくるトラックの恐怖を描いた背筋ゾクゾクの映画でした。H・G・ウェルズの古典SFを原作にした今回の映画は、その『激突!』あたりと共通する、理屈抜きのコワサを持った作品です。
妻子と別れて一人暮らしをしている港湾労働者のレイ(トム・クルーズ)。別れた妻のところで暮らす息子と娘がやってきたその日、すさまじい稲妻とともに宇宙人が来襲し、無差別攻撃を開始する。息子と娘を守るために、レイは必死で逃げ惑う……という物語。
かつて『E.T.』で友好的な宇宙人を描いたスピルバーグが、一転して地球人を攻撃する恐ろしい宇宙人を描くというのがユニーク。しかも、そのコワサがハンパではないのです。
カメラはひたすら主人公レイの視線に徹して、全体像はほとんど見せません。宇宙人や彼らが操るマシンさえ、めったに画面に登場せず、たまに登場しても一部分だけ。
真っ黒な空、切り裂く稲妻、地割れ。そんな不気味な映像を使いながら、宇宙人の襲来を描いていきます。おかげで、観客はいったい何が起きているのかわからずに、得体の知れない恐怖を味わうことになるのです。もちろん、タップリ使われるCGも効果的ですが、それ以上にスピルバーグの演出が見事すぎます。
こうして、宇宙人襲来の恐怖を描きつつ、その中で家族を省みなかったレイが、父親としての責任を自覚する家族愛の物語も展開します。残念ながらこれはツッコミ不足でやや底が浅い感じはするものの、レイが好戦的に宇宙人に立ち向かうのではなく、ただひたすら家族を守ることに専念する姿は印象的。「9.11」テロ以降の不穏な世界情勢の中、本当に大切なものは何かを観客に訴えかけているような気もします。
主人公を演じるトム・クルーズがいつものようにカッコよいだけではなく、ダメな父親ぶりを披露しているところが面白い。後半に登場するティム・ロビンス、息子役のジャスティン・チャットウィンなども好演。しかし、やっぱり一番凄いのは娘役のダコタ・ファニングのリアルな恐怖顔でしょうか。あれだけでも十分にコワイです。
恐怖の波状攻撃で、まさに『激突!』のスピルバーグが帰ってきた感じ。コワイもの好きは大満足! ただし、最近のスピルバーグ作品とは異質で、胸がスカッとするような快感は期待できないので、そこは十分にご注意を。
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