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07/29 |
『村の写真集』 |
桜井淑実 |
採点:★★★★ |
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『藤竜也の静かな熱演が見るものの心に沁みる。日本人が忘れかけた優しい気持ちが蘇る。』
四国の山村、ダム建設の賛否で村が割れている。もしかしたら村がダムに沈んでしまうかもしれない。村の家族の写真集を撮る。村の計画に一人の男がカメラを片手に黙々と山を登り、写真を撮り続ける。
どんなに遠くでも、車なんかは使わない。歩いてそこに行く事が大事なんだ、と行動で示す。その後を付いていくのは息子。村をでて、東京で写真家の助手をしている。村のよさも知ってはいるが、東京で成功したシンデレラボーイの仮面に満足している自分もいる。
頑固親父には昔から苦労した(と自分で思っている)。ブツブツ言いながら親父の後をついていく。しかし、尖がっていた自分が、どんどん溶けていくのがわかる。親父は、ニコッと笑って写真を撮る。そして、帽子を取って、「ありがとうございました」と心からお礼を言う。
ただそれだけ。しかし、その事のなんと暖かいことか。5時になると村に流れる「アメイジング・グレース」。何の事はない音楽が沁みていく。実は病気で余命いくばくもなかった親父だったのだが、そこに至って、親父のすごさがわかる。最後まで親父のすごさがわからない人はあまたいる。しかし、心から、心から家族になれるのだ。
藤竜也、こんなに味のある役者になろうとは。脱帽、感服、敬服、尊敬。昔の尖がった彼からは想像も出来ないのだが、原田芳雄もいいしなあ。自然な佇まいが一層渋さを引き立てる。
中国の「山の郵便配達」なんぞを見て、「もうこんな素朴ないい映画は日本ではありえないだろうな」と、どこか悲しく思ったような気がしたが、日本にもあった。いや、あえてもう日本ではありえないんだと、勝手に決め込んでいたのかもしれない。
ものすごく嬉しくなった。嬉しいとともに、「こういう映画は、遠慮します」、という人も多いのも事実だ。でも見たら絶対にいい。どうやったら、より多くの人に見てもらえるだろうか
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