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06/13 |
『靴に恋して』 |
桜井淑実 |
採点:★★★★ |
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『5人の女性の人生を濃密に描いた物語。ぜひとも女性に見てもらいたい女性のための映画』
アニータ・・・スニーカーをはく女。知的障害を持つ若い女性。決められた散歩コースを毎日歩くが、そこから何とか一歩踏み出したい。介護に来てくれるホアキンの優しさは、彼女の心を大きく変えた。世界が広がる。でも、その世界はきつい。
その母のアデラ・・・売春宿の女主人、人生にも疲れ、恋など箱の奥底にしまったままだ。ブルジョアの閑有マダム、イザベル。夫の帰ってこない邸宅で、奔放な日々を送る。イザベルが通う靴屋の店員、レイレは、5年付き合った恋人・クンに三行半を突きつけられたばかり。靴デザイナーを目指していたのに、その夢はどこかに消えてしまった。
スリッパでタクシーを転がすマリカルメン。再婚した夫に死なれ、飛んでる義理の娘に手を焼いている。それぞれが、違う道を歩みながら、人生の所々で邂逅する。寂しくもあり、厳しくもあり、でも暖かい。
5人のまるで違う女性をそれぞれに同時空で描いている。しかし、それぞれが薄い味付けではなく濃密だ。ブルジョアの妻でありながら、満たされない思いのイザベルは、常に小さいサイズの靴を履いている。満たされない思いが自分をさいなんでいるように思える。女性にとって靴は特別のものだ。どんな靴を履くか、大げさかもしれないが、その人の人生そのものをあらわしている。それはさらけ出した自分ではない。自分を表現しつつ、繕った自分の最後の砦が靴かもしれない。
靴を脱ぎ去ったとき、自分を見つける。そしてまた道を歩むために、新たな靴を履く。そんな事を感じた。オムニバス映画にありがちの、無理やりこじつけで、バラバラの人生を結びつける事もない。何気ないけど、それぞれが重要な女たちの人生を丁寧に描いている。非常に共感できた。原題の「Piedras」は石ころというような意味だそうな。それぞれの女性の人生をどこにでもあるものとして描き、そしてしっかりと見つめている。妙な邦題で、誤解を生みそうな映画だが、よく出来てた。いい本だった。アニータ役のモニカ・セルベア、すごい女優。この人を使えるということは、反則だとまで思わせる凄さ。
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