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05/13 |
『キングダム・オブ・ヘヴン』 |
桜井淑実 |
採点:★★★★ |
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『歴史に忠実に、かつドラマティックに描いた大作。普遍的な問題に目を向けたリドリーの視点に敬服』
「グラディエーター」で、歴史を描くことに醍醐味を見出したのか。「ブレード・ランナー」や「エイリアン」で知られるリドリー・スコットが、ヨーロッパの暗黒の時代、アジアに戦いを挑んだ十字軍を描いた。
11世紀末に、津波のように起こった十字軍。当時のヨーロッパは貧しい後進国で、人々は飢えていた。そんな時、キリスト教の聖地、エルサレムをわれわれの手に取り戻そうといキャッチフレーズに、人々は集った。始まりの勢いを駆って、第一回目の遠征は成功する。そのときに作られたエルサレム王国のその後の運命がこの映画で描かれる。
最初の遠征から約百年が経ち、賢明なエルサレム王・ボードワン4世と、アラブのカリスマ・サラディンが相対していた。無用な戦いはしない。つかの間の平和と、微妙な均衡状態が保たれているのが映画の舞台だ。
危うい均衡状態は、ちょっとした掛け違いでバランスが崩れた。やむを得ず再開された戦いの中、正義の騎士として、エルサレムに住むキリスト教徒の精神的な支えとなるのが、オーランド・ブルーム演じるバリアンである。もともとはフランスの片田舎で鍛冶屋をしていたが、カトリックでは許されない、自殺をした妻の罪の償いのために、十字軍に参加していた。聖地にきて、果たして神は自分の前に現れたか?罪は許されたのか?正義を貫こうとすると、戦いが起きてしまう・・。憔悴した鍛冶屋から、騎士となり、エルサレムの民を守る指導者となる若者の成長物語の要素も含んでいる。
明るい役柄が多かったオリーの新たな魅力満載。この魅力はうれしい誤算。時代考証も丁寧で、キリスト教側とイスラム教側の立場を、公平に描いているのがいい。戦いの場面が少々過剰気味で、血なまぐさいのもリドリー・タッチなのかも。
十字軍は、キリスト教徒の純粋な宗教心から起こったものだという一般的な捕らえ方は間違いで、十字軍の軍隊が行ったのは略奪、暴行、殺戮以外の何ものでもなかった。この荒くれ行為に対して、アラブの指導者・サラディンはあくまで紳士的に振舞ったことで知られる。今までのヨーロッパ中心史観を考え直すきっかけにしてもらってもいいかもしれない。
戦いは無益で、悲劇しか残さないが、引き起こされてしまったことに対して、背を向けない騎士の姿に男を見た。オーランド・ブルーム目当てでご覧になって結構。これがきっかけになって、歴史に興味を持ってもらえると、紹介冥利に尽きる。
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