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08/29 |
『シンデレラマン』 |
大日魂 |
採点:★★★★★ |
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『諦めなければ、願いは叶う、だから語り継ごう』
妻の誇りは、いつの間にか国民の誇りへと昇華されて行った――。
シンデレラマンと呼ばれた男。何もシンデレラのように靴を片方落として王子様に拾われるのではない。この「シンデレラ」とは、「おとぎ話」「奇跡」という意味を指す。シンデレラマン・ジム・ブラドックはおとぎ話のような奇跡を起こすのだ。
1930年ごろ、アメリカはかつてない大恐慌に襲われていた。失業者はなんと1200万人にのぼる。
仕事がない。金がない。光熱費が払えない。子供を育てられず、まだ余裕のある親戚の家に預ける。そんな家庭も珍しくはない時代だ。
例えば君がそんな時代に生きていて、プロボクサーという極端な実力世界で、一時はタイトルマッチに進むほど光を浴びるも…右手3回、肋骨2回、鎖骨1回骨折…次々と襲い掛かる怪我と、さらに交通事故に見舞われ、今まで稼いでいた資産も投資に失敗して全て失い、果ては生活保護を受け、無料配給に並ぶほどまでドン底に落ちたという、3人の子供を抱える一つの家庭の父親だったら、どうしただろう。そんな父親を支える母親だったら、どうしただろう。
諦めてもおかしくはない絶望の淵だが、シンデレラマンはもがき苦しみながらも、希望を捨てなかった。息子との約束・「お前を決してよそにはやらない」。そして常にそばにいた妻の支え。
恥も外聞も捨て、日々お金の工面に奔走した。度重なる試練、苦渋、不運…それでも諦めないシンデレラマンに、神は今一度チャンスを与えた。その希望はいつしかアメリカの希望になっていく。
ボクサーのマネージャーとは、使えそうな選手を発掘し、使い物にならなくなったらポイッと捨てる、そんな偏見と傾向がある。が、シンデレラマンに付いたマネージャー・ジョー・グールドは対照的なまでに違った。家の家具を売り払い、シンデレラマンに全てを託した、もう一つの支えであり、妻に次ぐ三番目の主人公だ。
絶望を感じていた人々の目に、自分たちと同じドン底の境遇に立たされていた男が、バブリーな空間であるマジソン・スクエア・ガーデンのリングに立っていた。自身は、妻は、ジョーは、人々は、目を疑った、そして、泣いた。
これが実話だと言うことに耳を疑う人も多いことだろう。
それほどの、空前絶後のスペクタクルハッピーだ。
男が背負うもの、女が耐えるもの。うたい文句の「久しぶりに、イイね」のイイは凄く、イイ。
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