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【笑える本5冊目】物語のドミノ倒し『ドミノ』/恩田陸
2012-01-26 10:38:42

紆余曲折を経、今はのほほんと英語を教えつつ、そのかたわら書評の執筆やバンド活動にいそしんでいる。文学本来の意義、つまり最高の娯楽の1つとして、読書の魅力をみなさんに伝えることができたら嬉しいなと思っています。
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このごろ「笑える本」から少し離れて、恩田陸の作品を読むのに凝っている。
『夜のピクニック』ではすがすがしい気持で心ときめき、『NEVER LAND』『O&A』『光の帝国』ではゾクゾクしながらトイレに行けなくなったりしている。
いずれの作品も、読み始めたら夢中になりすぎて朝まで眠らずに読破してしまったという共通点がある。
さて、そんな抜群に面白い作品を量産する恩田陸だけど、実は彼女の作品にも「笑える本」が存在する。
そのタイトルを『ドミノ』といって、これがまた眠れなくなるほどに面白く、スリリングで、しかも笑える。
1億円の大口契約の入金締め切りを数時間後に控えあわただしい生命保険会社。
舞台『エミー』のオーディションに挑む10歳の少女。
美人の従姉妹を従えて別れ話を切り出そうとする青年実業家とその女。
次期幹事長の座をかけて推理を競い合う大学の推理研究会のメンバー。
俳句のオフ会のために初めて地方から東京を訪れた初老の男。
日本を訪れていた人気映画監督とそのペット。
そして「試作品」を抱えた謎の男。
これだけの登場人物たちが織り成す物語が、この小説ではそれぞれに同時進行で進む。 その描き方が鮮烈だ。1つの話しが少し進展し、読者が気になり始めたところで、次の話に移る。そしてまた次の話が少し進展して読者が気になり始めたところで、さらに次の話に移る。 このようにして、物語は日めくりカレンダーのように、くるりくるりとその舞台を変える。 そして始めはばらばらだったそれぞれの物語は<ある瞬間>に近づくにつれてその距離が近づいてくる。 そして物語は、いくつもの勘違いやすれ違いを経て絶妙に絡み合い、いよいよクライマックスというところで一気に衝突する。 方々からぱたりぱたりと転がってきた物語が、加速度を増しながら最後の一点に集約する。 なるほど、まるでタイトルどおり、これは『ドミノ』だ。 文庫本にして376ページの大作だが、小説の中ではわずか5時間しか経っていない。それだけの物語が凝縮されている。そしてあまりのテンポのよさに、読む側も大作であることを忘れてあっという間に読みきってしまう。そういう作品だ。 この『ドミノ』の作風は、笑える本ではないのでここで紹介することはないと思うけど、ダン・ブラウンの『ダヴィンチコード』を彷彿とさせるものがあった。一つ一つのシーンを気になるところで転々と転がし読者に本を閉じさせないところとか、まるっきり『ダ・ヴィンチ・コード』のずば抜けた面白さそのものだ。 ただ大きく異なるのは、この『ドミノ』はそのスリリングな展開に加えて、ギャグとユーモアに彩られているということだ。笑えてスリリング。 一読を強くおススメする。
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